災害は会議室で起きてるんじゃない!
「災害は現場で起きてるんだ!」
踊る大捜査線、青島刑事の名セリフから、「事件」を「災害」に置き換えたものです。
趣旨は、
- 発災直後の現場の情報は、
- 会議室を経由せず、
- 現場からダイレクトに情報をオープンにすべき。
ということです。
現状、災害発生時の行政等における災害情報の一般的な流れは、
災害発生
→現場パトロールで被災箇所発見
→パトロールから戻って、情報を整理して上司に報告
→上司が複数箇所の情報を整理して上位機関に報告
→上位機関(会議室)が情報を整理して本部に報告
→本部(会議室)が全体を整理してトップに報告
→本部から記者発表、PDFをホームページ掲載
概ねこのような流れかと思います。(ただし、気象や河川水位等のセンサーデータに基づく情報は、迅速(ほぼリアルタイム)に発表・公開されています。)
現状では、以下のような課題点があります。
- 情報がオープンになるまでに時間がかかる。
- 個別箇所の詳細情報が伝わらない。
- 情報の中継機関が被災すると、その先に情報が伝わらない。
災害時、現場の関係機関は、初動対応を判断するために、どこが、どうなってんのか?といった情報が一刻も早く必要となります。組織内の情報だけでなく、組織の枠を超えた迅速な災害情報の共有が必要です。これは昔から言われていることですが、未だに実現できていません。
被災地の住民も避難勧告等を待つだけでなく、自主避難などを的確に判断できるように、詳細な周辺状況の情報を迅速に届ける仕組みが必要です。ちなみにテレビのニュースは目立つ場所の情報が中心となるので、あてになりません。また被災等で市町村が沈黙する事例もあり、これを想定することが必要です。
これらの課題をツイッター活用で簡単に解決できると思います。
災害発生
➔誰かが被災箇所発見
➔その場で、#◯◯市災害+写真+位置情報を付けて、ツイッターに投稿
多くの人がこれを実践するだけで、組織の枠を超えた迅速な災害情報の共有が実現します。投稿するのは、住民、行政職員、建設会社社員、消防団員、水防団員、たまたま現場に居た人、現場に急行した人など誰でもオッケーです。
しかも、コストは基本的にゼロです。(投稿する際に使うスマホの費用とパケット通信費用等が発生します。)
ツイートには最低限、#◯◯市災害 に加えて、どこが、どんな状況なのか、が判るようにすることを必須とします。データの標準化など難しいことを、忙しい現場の人に求めるのは無理です。無理なことを求めても実態が伴わず、無意味です。データの標準化は、それを必要とする誰かが、ツイートされた情報に基づいて実施すれば済むと思います。
情報を閲覧する方法は、ツイッターで #◯◯市災害 を検索するだけです。極めて簡単です。
ツイッターは誰でも投稿できる、といった特徴があることから、ウソやデマが投稿される可能性があり、個別情報の信頼性の確保が課題となります。しかし、以下のような対応で解決できると思います。
- ツイッター活用の防災訓練を実施し、各自でツイート情報の信頼性を見極める能力を持つようにする。
- ツイートの中から、信頼性の低い情報を排除し、信頼できる情報のみを整理して公開する、といったことを、誰かが実施する。
- デマが投稿された際には、誰かが、デマの否定・注意情報を、#◯◯市災害 を付けて投稿する。
逆に、信頼できる情報だけを扱う災害情報共有システムは、システム構築・運営コストの問題、情報量の確保、情報の迅速性、情報の伝達範囲など、根本的かつ解決困難な課題が多数あると思います。これまでに災害情報システムの構築に向けた様々な取り組みがありますが、満足に機能したものが存在しない事実が、このことを実証していると思います。
災害時のツイッター活用の実例として、群馬県建設業協会が災害情報をツイッターで情報発信しています。詳しくは、協会のアカウント @gunken000 を御覧下さい。
埼玉県和光市などでは、ツイッター活用の防災訓練を繰り返し実施中です。和光市では、ゲリラ豪雨発生時に市内の状況把握に役立った事例もあります。
いかがでしょうか?
発災直後の現場情報を、数多く集め、迅速に、広く共有する方法として、現時点でこれに勝る方法は無い、と思います。ただし、この方法が普及すれば...の話になりますが...
また一般論として「災害専用システムは災害時に使われず、日常使っているシステムを災害時に活用すべし。」と言われており、まさに、これに合致した方法になります。
ちなみに、ユーザー数が多い他のサービスとして、フェイスブック、ライン、インスタグラムでは、ジオタグ活用やAPI等に課題があり、現時点では災害情報共有にはツイッターがベストだと思います。