実るほど頭を垂れる稲野かな

災害時のツイッター活用の提案

災害時には市町村の機能停止を想定すべき

NHK NEWS WEBの記事(2021年1月7日)に「全国の184自治体で庁舎が津波で浸水するリスク」との記事が掲載されています。

www3.nhk.or.jp

 

ざっくり言うと、184の自治体の庁舎が津波浸水区域にあるってことです。184の自治体の中には、青森県、神奈川県、徳島県大分県といった県庁も含まれています。

 

NHKの記事では津波浸水についての言及ですが、それ以外にも、大雨で浸水するケース、地震で庁舎が被災するケースなども想定されます。記憶に新しい事例としては、2015年9月の豪雨災害で、鬼怒川が決壊し、茨城県常総市の市役所周辺が浸水し、市役所が一時孤立した事例があります。

diamond.jp

このように市役所、町役場など庁舎に関するハード面の問題点に加えて、ソフト面の問題点、具体的には①職員が集まらない、②混乱状態になる。の2点があります。

 

まず、予測できる台風では事前に関係職員の待機が可能ですが、地震は予測できません。大きな地震では道路・鉄道等は交通麻痺=使えなくなります。職員が集まらなければ、自治体は機能しません。最近は在宅勤務が行政でも増えてますが、災害対応のリモート対応は無理だと思います。

 

そして最大の問題点は、ほとんどの自治体職員は災害に慣れておらず、災害時に職員の処理能力を超えた情報・問い合わせが集中し、自治体の中が混乱状態になり、的確に情報処理の上、判断・行動ができなくなることです。これは災害時、自治体のホームページにアクセスが集中し、ホームページの閲覧ができなくなるのと似ています。ホームページなら、サーバーの能力を増強すれば対応できますが、災害時の職員の情報処理能力をアップさせるのは、そう簡単ではないです。

 

私自身、国土交通行政に33年間携わり、その間の経験・事例分析から勘案すると、大きな災害が発生した直後には、多くの自治体では上記のようになります。実態としてそうなっていることを踏まえると、災害の直後には自治体は的確に機能しない、的確に機能することを期待してはいけない、と思います。

 

と言うことで、ブログのタイトルにあるように、災害時には市町村の機能停止を想定すべきと思います。

 

災害対策基本法に災害時の市町村の責務が記載されていますが、法律に書くだけでは問題は解決しません。むしろ災害時に市町村が的確に機能しないことは、実例を踏まえて「よくあること」として想定すべきです。

 

さて、都道府県が整備している災害情報システムでは、現場の情報を市町村(職員)が入力することになっています。熊本地震の際には、熊本県の災害情報システムに災害情報が迅速に入力されなかったと報告されています。

 

災害時の市町村の状況を想定し、これを踏まえてシステム設計すべきと思います。

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