実るほど頭を垂れる稲野かな

災害時のツイッター活用の提案

地区防災計画はダメ

地区防災計画(ちくぼうさいけいかく)ってご存知でしょうか?

結論から言うと地区防災計画はダメだと思います。

 

地区防災計画とは、災害対策基本法に基づき、市町村内の一定の地区の居住者及び事業者(地区居住者等)が共同して行う当該地区における自発的な防災活動に関する計画。平成26年度より制度がスタートしてます。

簡単に言うと、『住んでいる地区の防災計画を住民が共同で定める』ってことです。

 

確かに、近年は災害が頻発・激甚化しています。また大規模災害時には住民相互に助け合う共助が重要です。しかし、住民が地区の防災計画を自発的に作る(自発的に作らせる)ってのは全般的には順調に進んでいない

 

内閣府「地区防災計画ガイドライン」を読むと、集会所などに住民を集めて(自発的に集まって)、住民間で何度か議論し、専門家のアドバイスを受け、町歩きなどした上で地区防災計画をつくるイメージです。しかし今の時代、そう簡単には住民は集まりません。内閣府のライブラリで既存の地区防災計画が公開されていますが、それらを見渡して、これでホントに機能するのか、大いに疑問です。数多く策定されれば、それでイイってものではありません。地域によっては、住民間で災害時の対応について熱心な議論が行われているケースもあるとのことですが、全般的には順調に進んでいないと思います。(公開された情報に基づく個人の感想です。)

 

市町村に対しては、国(内閣府)や都道府県から、地区防災計画制度を住民に広く周知・啓発するように、と伝達されていると思います。しかし、市町村の現場職員の本音は「住民に防災計画を作らせるなんて無理!ってのが大多数だと思います。内閣府の指示だろうが、法律に記載されていようが、無理なものは無理!と内心思っているものの、上司や上位組織(内閣府)に真っ向から反論すると、出世に響いたり面倒なことになるので、空気を読んで、表立って反論せず、淡々と事務作業を進めているだけ。 

 

住民も説明会で「皆さんで地区の防災計画を作ってください。」とか言われても、

災害時の責任を住民へ押しつけるんか!

集会所に何度も集まるなんて、面倒でやってられんわ!そんな時間ないし!

と思う人が多いと思います。実際に現場からの声があります。

 

共助のためには、地域コミュニティが重要。近年は住民間のつながりが希薄になっているので、地区防災計画づくりを通じて、地域コミュニティを活性化させよう、といった狙いもありますが、そもそも昭和の時代の地域コミュニティを、そのまま令和に復活・活性化させようとするのは無理。スマホを捨てて、インターネットが無かった頃に戻ろう、と言っているようなもの。これからの社会を担う若者の大多数はついてこないです。集まるのは、退職した高齢者や子供が巣立った家庭の専業主婦などが多いんじゃないかと想定されます。

 

災害は地区内で完結するものではなく、状況に応じて隣接地区に行って共助することも考えられます。また、通勤・通学している人は、職場や学校、移動の途上で被災する可能性もあります。

 

例えるなら、地区防災計画制度は裸の王様。現時点で「王様は裸だ!」と大きな声で言われていないだけ。

 

あるいは、1940年代に、現場の実情を無視して作戦を強行した某国の指令本部と似ていると思います。

 

地域コミュニティをベースにした共助が、阪神淡路大震災など過去の災害時に役立った、といった経験に基づき、これがあるべき姿だ!と考え、その後の技術革新・社会変革を一切踏まえずに、過去の再現を盲目的に目指すのは愚策

 

スマホの普及などの社会変革を踏まえ、共助を含む災害対応をIT活用で効率的に進める具体的な方策の検討を進めるべき、と思います。

 

より具体的には、SNSの利用者増を踏まえ、

共助に役立つネットコミュニティの醸成

を目指すべきです。乳幼児や重病人などの一部少数のスマホを使えない人に対しては別途救済措置を講ずれば済む話です。

  

先日の台風15号で、千葉県の房総半島では、長期の停電かつ有線・無線のインターネット通信も使えなくなりました。そうした最悪の事態を想定することも重要です。しかし、災害時に電気とインターネットが使えるなら、それを積極的に活用すべきです。電気とインターネットが使える状況なのに、それを一切使わない防災計画もナンセンスです。