実るほど頭を垂れる稲野かな

災害時のツイッター活用の提案

建設会社の広報について考える

群馬県建設業協会群建協)の「ぐんケン見張るくん」が土木学会の土木広報大賞2021にて、特別賞を受賞されました。改めて、その取り組みについてご紹介、考察したいと思います。

 

「ぐんケン見張るくん」とは災害や大雪の時に現場の状況を逐一ツイッターに投稿する取り組みです。2014年より実施されています。

百聞は一見に如かず。最近の除雪状況の投稿をご覧ください。

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上記の投稿はほんの一例であり、ツイッターで群建協のアカウント @gunken000 を検索すれば誰でも全ての投稿を閲覧できます。

 

さらに、これらの投稿の全てにジオタグと呼ばれる位置情報が付与されています。「ちずツイ」などのサイトで、このように地図上に展開して閲覧できます。

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これにより群馬県内のどこが、どんな状況なのか、簡単に把握することができます。車で外出する際の路面状況の把握などに大いに役立つと思います。

 

大雨や地震などの災害時にはパトロールの実施状況や復旧工事の状況も同様に投稿されています。2015年のみなかみ町の法面災害が発生した時の投稿を以下に示します。

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復旧工事の詳細な状況がわかる情報になっています。

 

テレビなどマスメディアでは、この程度の小規模な法面災害についてはほとんど取り上げません。同様に除雪についても、災害級の大規模立往生は別ですが、通常の降雪は天気予報コーナーで取り上げる程度です。

 

すなわち「ぐんケン見張るくん」は、テレビなどマスメディアでは伝えないローカルな情報、しかし地域住民にとって重要な情報をきめ細かく情報発信していると評価できます。

 

パーパスの視点

 

企業経営においてパーパスが重要と言われています。この場合のパーパスとは「存在意義」と訳されます。企業は、利益を追求するだけでなく、現代社会の課題を踏まえた「存在意義」をアピールすることで、内外の関係者から「信頼」と「共感」を得られ、それが巡り巡って企業の利益につながると言われています。

 

「ぐんケン見張るくん」の取り組みは、災害や除雪時の活動状況を細かく情報発信し、その情報自体が地域住民に役立つことに加えて、情報発信を通じて、地域の建設会社が地域の生活・経済に不可欠な存在であること、すなわち存在意義をアピールしている、と評価できます。

 

新聞広告に「地域の建設会社は災害対応や除雪に取り組んでいます。」と出すよりも、「ぐんケン見張るくん」の情報発信は、地域住民へ群建協(地域の建設会社)のパーパス(存在意義)を強烈かつ継続的にアピールしていると思います。

 

スーパーゼネコンのテレビコマーシャルを見かけることがあります。良いコマーシャルは視聴者に良い企業イメージを植え付けます。しかしそのためには莫大なコストが必要となります。

スマホSNSの普及が進行中である令和の現代社会においては、地域の建設会社は、ソーシャルメディアを通じた地域住民向けの広報に取り組むべきと思います。