実るほど頭を垂れる稲野かな

災害時のツイッター活用の提案

アクティブ・ソナーとパッシブ・ソナー

ツイッターで災害情報を収集する方法を、潜水艦のソナーに例えると、2種類に分類できます。

 

① パッシブ・ソナー方式

 黙って聞き耳を立てて、様々な音の中から必要な情報を聞き分ける

② アクティブ・ソナー方式

 探針音を発し、反射音を活用する

 

パッシブソナー方式

パッシブ・ソナーとは、黙って聞き耳をたてて、水中の様々な音の中から敵潜水艦のスクリュー音を聞き分けて、その存在を察知する方法です。

 

ツイッターの中から災害情報を収集する際、膨大なツイートの中から、様々な検索などを駆使して、必要なツイートを抽出する方式となります。場合によっては高度な検索テクニックが必要となります。

最近は災害情報等を自動抽出するシステムが開発され、実際に報道機関などで使われています。具体的には、Spectee が開発したシステムを、多くの報道機関や自治体が採用しているとのことです。

この他、情報通信研究機構NICT)が、対災害SNS情報分析システムDISAANAと言うシステムを開発しています。これは、誰でも使える無料システムとして公開されています。

 

 

アクティブ・ソナー方式

アクティブ・ソナーとは、自ら探針音(ピンガー)を出し、物体がこれを反射する音を聞き取り、敵潜水艦の存在等を察知する方法です。

 

和光市などが実施しているツイッターハッシュタグを活用して、災害情報を収集する方法は、このアクティブ・ソナー方式となります。

 まず「災害時に現場の状況を、#◯◯市災害 のハッシュタグをつけてツイートして下さい。」と自治体等から住民にお願いすること、これが探針音になります。

そして、この探針音(お願い)に呼応した市民が、災害現場の状況をツイートします。これが反射音になります。

反射音に相当するツイートの抽出は、ハッシュタグ検索するだけなので、きわめて簡単です。

 

両者の方式の比較

パッシブ・ソナー方式は、情報の抽出が難しい、といったデメリットがあります。

前述のNICT開発のDISAANAは、無料なので、6月18日の山形県沖の地震発生時に使ってみましたが、思うように情報を取得することができませんでした。

有料のSpecteeのサービスは、先日、デモを拝見しましたが、画像解析から、様々な情報を抽出する機能が凄く、多くの報道機関等が採用しているだけあって、かなりの優れものみたいです。でも有料なだけに、一般住民が使うわけにはいかないと思います。

また、全く音を出さない存在=ツイッター等で情報発信しない人からの情報は得られません。

 

アクティブ・ソナー方式は、探針音の出し方が重要となります。すなわち災害時に#◯◯市災害 のハッシュタグをつけて、現地状況をツイートして下さい、といったお願いが、多くの住民に届き、多くの住民が実際にツイートしてくれるか、これが重要です。そのため、防災訓練などを通じて、このツイッター活用方法について、多くの住民に知ってもらい、災害時に実際にツイートするようになることが重要となります。

防災訓練等により、このようなツイッター活用方法の目的・意義などの周知が進むことで、多くの人からのツイートが期待でき、場合によっては、それまでツイッターを使っていない人も、防災訓練をきっかけに災害時にツイッターで情報発信するようになることも期待できます。

 

両者の方式を比較しましたが、両者は相反するものではありません。

アクティブ・ソナー方式の周知・浸透により、災害時に現地状況を的確に伝えるツイートが多くなれば、パッシブ・ソナー方式でも、詳しい災害情報の抽出が、より確度高く行えるようになり、パッシブ・ソナー方式の有効性も高まると思います。

 

最後に

ツイッターの利用は、基本的に個人の自由です。他人の迷惑等にならなければ、どんな内容をツイートするのも自由です。

であれば、災害時に、多くの人の役に立つように、所定のハッシュタグをつけて、現地状況を的確に伝える投稿をするのも自由です。

あなたは、どうしますか?