実るほど頭を垂れる稲野かな

災害時のツイッター活用の提案

台風10号接近中に消防団が現場からツイート

2020年9月上旬、大型の台風10号が九州に接近。その際中、宮崎県日向市の消防団は巡視中の現場状況を逐一ツイッターに投稿。(日向市消防団としての実名アカウント)

具体的なツイートは、こちら にまとめました。

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異常なしの情報から、道路冠水、河川の水位、倒木、通行止めなど、様々な情報がツイートされています。

この日向市消防団ツイッター活用について考察します。

 

市民の情報ニーズに合致

災害時のテレビのニュースは、大規模な被災現場や救助活動の実況など、派手な現場、言い換えると視聴率を取れる映像が主体になると個人的に感じます。

台風接近中の日向市民の心情を察すると、直接関係ない遠くの被災現場の情報よりも、自分の近辺が具体的に今どんな状況なのか?被害の有無は?といった情報へのニーズが高いと思います。消防団のツイートは、こうした市民の情報ニーズに合致した情報源になります。

 

迅速に伝わる

ツイッターは投稿した瞬間、誰でもその情報にアクセス可能となります。

一方、従来の一般的なやり方、すなわち、現場の消防団員から自治体の災害対策本部等に情報を伝達し、そこで情報を集約・整理してから...といった方法では、情報が市民に届くまでにタイムロスが発生します。写真などせっかくの詳細情報が公開情報から省略されたり、情報発信までに長時間を要するケースが多い、と個人的に感じます。

 

広く伝わる

日向市消防団が災害時にツイッターで情報発信するのは、今回の台風10号が、実災害への対応として、初回のことで、周知が不足していて日向市の市民にも十分に認知されていないと想定されます。しかし、今後PR・実績を重ねていけば、認知が進み、近い将来、

災害発生時、日向市民は、テレビよりも先に、手元のスマホから消防団のツイートを確認するのが当たり前

といった状況になると思います。

  

システムの信頼性・耐久性

ツイッターは膨大な利用者が日常的に利用しており、そのシステムの信頼性・耐久性は世界最高レベルとも言われています。さらに「天空の城ラピュタ」がテレビで放送されるたびに「バルス」による瞬間集中アクセスに対する耐久性が実証されています。

一方、行政機関のホームページは、災害時にアクセス集中で閲覧できなくなるケースがあります。また災害時にだけ使うアプリ・システムでは、災害時にバグが出たり、使い方がわからず、使いこなせないことも考えられます。

 

コストゼロ

ツイッターを通常利用する範囲では、コストゼロです。

 

発展の可能性大

日向市は市民向けに、災害時には、#日向市災害ツイッターハッシュタグを付与した情報提供を呼び掛けています。

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日向市消防団のツイートにも、このハッシュタグ#日向市災害 がついています。また少数ですが、台風10号接近中に一般市民から情報提供ツイートもありました。

今後、消防団に加えて、一般市民や他の災害対応組織から#日向市災害をつけた災害情報が数多く投稿されれば、迅速に市内の状況を把握できる情報源として、その価値はさらに高まると思います。

さらに、市民相互の災害時の迅速な情報共有が進むことにより、市民の自律的な行動、市民相互の救助活動=共助のきっかけ、ひいては地域防災力の向上にもつながると思います。詳細については、このブログ末尾のスライドをご覧ください。

 

消防団の活動PR

消防団が災害時、どんな活動をしているのか?多くの市民は知らないと思います。日向市消防団のツイートを見れば、市民へのPRになります。さらに、市民から感謝のリプライが寄せられることで個々の消防団員のモチベーション向上にもつながると思います。さらには若手消防団員の確保にも好影響があるかもしれません。

 

デメリット

こうした災害時のツイッター活用の提案に対して、熊本地震ではデマが投稿されたやん!情報の信頼性やデマはどないすんねんとか、スマホ使えんツイッター使えない人はどないすんねん、といった簡単に対処可能な反対意見が出ます。こうしたICT嫌いのステレオタイプの現状維持派が大勢存在することが、日本においてDXが進まない根本的原因と思います。

 

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