災害時ツイッター活用の研究のきっかけ
1.研究のきっかけ
7年前のその時、東京都内で会議中でしたが、大きな揺れで会議は中止。結局、その日は別の会議室で不安な一夜を過ごしました。幸いなことに、発災直後に自宅の家族に連絡でき、無事を確認できましたが、自宅周辺の詳細な状況は不明でした。テレビは少しだけ見ることができましたが、東北の映像ばかりでした。
当時、地震の直後、私が知りたかったのは、以下の情報です。
- 自分がいる周囲の状況
- 自宅の周囲の状況
- 帰宅手段・経路の状況
どうしたら、災害時に、知りたい場所の情報が迅速に得られるか、といった課題を実体験として認識したこと、これが研究のきっかけです。
2.現地の人が情報発信
災害時、震度など各種気象データについては、気象庁が迅速に発表します。しかし、震度や降水量がわかっても、知りたい場所の具体的な状況はわかりません。テレビのニュースは目立つ場所の情報が中心となり、行政機関が発表する情報では遅くて不十分と思います。
知りたい場所の情報が迅速に得られる既存サービスとして、参考にしたのはジョルダンライブ!です。
ジョルダンライブ!は、電車のトラブル情報などを、その場にいる一般のユーザーが投稿し、情報共有するサービスです。鉄道会社が発表するよりも、迅速に詳しい情報が得られるとのことです。私自身もジョルダンライブ!の愛用者で、電車トラブルに巻き込まれた時は、閲覧だけでなく投稿もするようにしています。
また、投稿された情報は路線などを絞り込むことができ、またchromeのwebアプリを使うことで、地図上にマッピングして表示することもできます。
このジョルダンライブ!の実態として、大都市部で電車トラブルが発生すると、迅速に、駅ごとの状況など詳細情報が数多く投稿されています。鉄道会社の公式情報よりも、早く、詳しい情報が得られると思います。
このようなジョルダンライブ!の実態を踏まえると、一般の人に災害時の被災情報などの情報提供をお願いすれば、有効な情報が得られるのではないか、と考えました。
3.なぜツイッター
下記の通説があります。
- 災害専用システムは災害時に使われない
- 日常的に使っているシステムを災害時に使うべき
この通説に沿って、日常的に使われているシステムの中で検討した結果、災害情報の共有する方法として、ツイッター活用に至りました。
ツイッター活用の理由を列挙します
4.災害時のツイッター
実際に、災害現場や交通事故など、何か日常と違う状況が発生した時、その状況を伝えるツイートが数多く見られます。すなわち、非日常に遭遇した際、その状況をツイートをする人が大勢いることになります。
しかし、そうした非日常のツイートを抽出するためには、発生事象等に応じた検索ワードの工夫が必要となり、また詳細な場所の特定が困難であるなどの課題があります。
この課題に対しては、ツイートする際に、所定のハッシュタグと位置の情報をつけるようになれば解決できます。
ならば、災害時に現地状況を投稿する際のルール的なものを定め、そのルールに沿ってツイートする訓練を、多くの人に呼びかけて実施すれば良いのではないか、と考えました。
4.訓練の実施
どこかでツイッター活用訓練ができないか、と考えていたところ、たまたま和光市が災害時のハッシュタグを定めたとの情報を得ました。私の考えと同じことを和光市も考えていたので、和光市にツイッター活用の防災訓練を提案し、実施に至りました。