実るほど頭を垂れる稲野かな

災害時のツイッター活用の提案

災害時には #〇〇市災害 のハッシュタグを

災害時のハッシュタグについて
 
 前回のブログで、和光市の災害時ツイッター活用事例を紹介しました。その補足説明です。 
 防災訓練や災害時において、和光市から住民に対して、現地状況のツイートをお願いしています。ツイートする際のポイントは3つあります。
  • ハッシュタグ#和光市災害』 をつける
  • 位置の情報をつける(テキストに番地名等を記載。もしくはジオタグ付与)
  • 写真や投稿文で状況を説明する

 今回は、このハッシュタグ #和光市災害 について、解説します。

 

 

1.ハッシュタグとは

 ハッシュタグとは、ハッシュマーク「#」に続く任意の文字列です。
 和光市で災害時に使うハッシュタグは、#和光市災害 です。住民等が災害情報をツイートする際に、テキストの中にこのハッシュタグを記載します。
 ツイッターハッシュタグ検索すると、完全一致でハッシュタグが記載されたツイートが抽出されます。すなわち、ハッシュタグはツイートを抽出するための検索ワードとして使うものです。
 
 任意の文字列なので、なんでも良いのですが、長すぎると入力が大変だったり、覚えられません。逆に、短くシンプルなハッシュタグだと、大勢の人が別の目的で投稿していたりして、関係ない情報が多くなり、結果として情報埋没になります。例えば、「#災害」「#和光市」などのハッシュタグは、既に様々な人が様々な用途で利用しており、和光市内の災害情報を共有するハッシュタグとしては不適当となります。
 
 
 
2.#和光市災害 ハッシュタグの目的
 #和光市災害ハッシュタグは、住民や関係者が、和光市内の災害に関する情報を共有することが目的です。すなわち、
  • 市内で被災箇所等を発見した人が、その災害情報を他者に届けるために、#和光市災害 をつけてツイートする
  • 市内の災害情報を知りたい人は、#和光市災害 で検索することで、その情報が得られる
  • 市役所等関係機関が、住民向けに災害関連の情報を伝達する際に、見つけられやすくするために、#和光市災害を付与する。

  災害時にこのように使うことが想定されます。

 また、ハッシュタグ #◯◯市災害 は、他の自治体の訓練等でも使われています。

 ( #龍ケ崎市災害 、#富山市災害 、#東村山市災害 、#那覇市災害 、#福岡市災害 など)

 

 複数都市の事例から、災害情報共有のハッシュタグ#◯◯市災害とすることで、ツイート数が多すぎず、覚えやすく、使いやすい、と思います。このため、当面はこれ #◯◯市災害 を推奨したいと思います。人口が多い政令市などで、ツイート数が多くなるケースでは、区の名称などを追記することで解決できると思います。

 

 

3.行政への通報ではありません(基本的に)

 ハッシュタグをつけたツイートは、基本的に行政への通報ではありません。災害時の市内の状況などの情報を広く情報共有することが目的です。ハッシュタグ付きツイート情報を活用するシーンとしては、下記が想定されます。

  • 住民はハッシュタグで検索し、得られた市内の災害情報を、自主避難などの判断材料に役立てる。
  • 遠隔地の人で、被災した市内に家族・知人がいる場合、状況を把握するために役立てる。
  • 市役所など関係機関は、市内の状況を把握し、的確な初動対応を進める際の参考に役立てる。

 災害時、被災箇所等を発見して、電話やメールで市役所へ通報しても、他の一般の人には、その情報が伝わりません。大きな災害が発生すると、市役所が混乱状態になり、最悪のケースは機能停止します。すなわち、災害情報を市役所に通報しても、その情報が活かされない可能性が大きいです。こうした課題を改善する方法として、ツイッターハッシュタグによる情報共有を行うことが、基本的な目的です。仮に被災や混乱で市役所が適切に機能しなくとも、住民相互の災害情報の迅速な共有が可能となります。

 通報ではない、と言っても、市役所が機能しているのであれば、ハッシュタグ検索で市内の状況を把握した上で、優先順位を考慮して、市役所として必要な対応を進めることになります。この際の参考情報として、ツイート情報を活用することになります。

 また、大災害で逃げ遅れて救助を要請したい場合、119番に電話してもつながらないといった状況の場合に、緊急的にこのハッシュタグを付けて救助要請することも考えられます。実際に2019年台風19号の際、長野県でそのようになった事例があります。しかし、これは例外的なケースとすべきと思います。

 

 

 4.ウソ・デマについて
 ツイッターユーザーなら、誰でもハッシュタグをつけてツイートできます。極論として、誰でも #◯◯市災害 をつけて、災害と無関係の情報やウソ・デマを投稿することができます。
 しかし、これまでの訓練等の事例では、単純なイタズラのツイートを少数見かける程度で、悪質なウソ・デマのツイートは私が見る範囲ではゼロです。大多数は、現地の状況を的確に伝える内容のツイートでした。
 だからと言って、今後の災害時に、ハッシュタグを付けた悪質なウソ・デマが投稿されないとは限らず、危機管理的にはウソ・デマが投稿されるものと想定しておくべきです。しかし、仮にウソ・デマが投稿されたとしても、様々な対処方法があります。その具体的な内容は、後日紹介したいと思います。