実るほど頭を垂れる稲野かな

災害時のツイッター活用の提案

Society5.0 時代の災害情報システム

「組織の枠を超えたリアルタイムな災害情報共有」

その必要性は昔から言われていますが、実現の目途が皆無です。その理由を考察してみると...

現状では、各組織の現地関係者が現場の状況を確認し、現地組織で情報を整理した後、上位組織に情報を伝達します。そのようにして情報が集約された中枢組織において、情報の活用・公開等を判断します。しかし、この方式では、リアルタイムな情報共有は無理です。

リアルタイムに情報を共有するためには、現地からダイレクトに情報をオープンにすべきです。

 

これを模式図的に示すと、現状はツリー型で、組織階層に沿って情報を集約しています。これを、ニューロン型、すなわち個別の現場の情報は、現場からオープンに情報を発信し、その情報は誰でも活用可能にすべきです。

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 出典:研究広報誌「アド・スタディーズ」vol.54 生活者から見たネットコミュニティ 竹ノ内祥子

 

 

行政の実態

災害時、行政から的確に情報が出てこない。そういったケースがあります。その原因には、以下のものが考えられます。

  • 被災で庁舎やパソコンが使用不可
  • 交通マヒで職員が参集できない
  • 災害で混乱状態
  • 点検・パトロール等の体制が不十分

 

実際に2019年の台風19号で、国土交通省が堤防の決壊・氾濫の情報を的確に出すことができず、大臣の陳謝に至った事例もあります。

 

 考察

抜本的な改善策は、現場から情報をオープンにするのがベストだと思います。

組織階層に沿って情報を集約する方式では、各段階で情報の整理と伝達のタイムロスが発生します。さらに途中の組織が混乱状態にあると、そこで情報がストップします。

なので、災害現場において状況を確認したら、現場の職員が、その場で、情報をオープンにすべきです。

 

具体的に情報をオープンにする手段としては、現状ではツイッターがベストの選択だと思います。ツイッターで共通のハッシュタグ(例:#〇〇市災害)とジオタグ(緯度経度の情報)、写真等を付けて、現地の状況をツイートする。これだけで良いと思います。

ただし、平時の訓練や広報において、こうした方法で災害情報を出しますよ~と周知しておくことが重要です。


関係行政機関、関係企業、そして住民など、組織の枠を超えて、このように情報発信すれば、組織の枠を超えたリアルタイムな災害情報の共有が実現します。

 実際に、群馬県建設業協会では、この方式で情報発信しています。


「Society5.0」

狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会の次に来る5番目の社会。(科学技術基本計画(2016年1月閣議決定))

 

情報通信白書(2018年7月)では、以下のような記述があります。
これまでの情報社会(Society4.0)では、社会での情報共有が不十分であったが、Society5.0で実現する社会では、(中略)様々な知識や情報が共有され、今までにない新たな価値を生み出すことで、これらの課題や困難を克服します。 

 

上記の情報通信白書の記述を、私なりに災害情報に関連して言い換えると、


これまでのSociety4.0の社会では、災害時の現地の情報は、組織ごと、対象施設ごと、クローズに中枢組織に情報を集約した上で対応を検討し、組織間の情報共有が不十分でした。
これからのSociety5.0の社会では、災害時の現地の情報は、現地で情報をオープンにして、それらの情報を個人レベルや行政レベル等で各々が活用することにより、迅速・的確な災害対応に役立てるようになります。情報弱者に対しては、弱者向けに情報を整理・伝達するサービスも出現します。


最後に

近未来における会話を予想してみます。
「平成までの時代は、災害時に現地の情報を、組織ごとクローズに中枢組織へ情報集約していたんだって。」
「へーっ!そんな非効率な時間を要することをやっていたんだ。災害時には、みんなで現地情報をオープンにして、リアルタイムに情報共有して活用するのが常識だよね。変な情報は簡単に除外できるから安心だよね。」